ゼポジア®カプセルスターターパック及びゼポジア®カプセル0.92mg(一般名:オザニモド塩酸塩)は、米国Receptos社(現ブリストル・マイヤーズ スクイブ社)により創製された、経口投与が可能な、スフィンゴシン1‐リン酸(S1P)受容体調節剤です。
S1Pは、細胞増殖、分化、免疫等を調節する脂質メディエーターであり、5種のS1P受容体サブタイプのうち、リンパ球表面に高発現するS1P1受容体は、リンパ球がリンパ節等の二次リンパ組織から移出する過程で重要な役割を果たすことが知られています。
ゼポジアは、S1P1とS1P5受容体に選択性を有し、特にリンパ球表面のS1P1に作用することで、リンパ球を末梢リンパ組織内に滞留させ、炎症部位へのリンパ球遊走を抑制すると考えられています1)-3)。
潰瘍性大腸炎(Ulcerative Colitis:UC)は免疫介在性の炎症性腸疾患のひとつであり、主に大腸粘膜を直腸から連続性に侵し、しばしばびらんや潰瘍を形成するびまん性非特異性炎症です。UCの治療は、重症度や罹患範囲・QOLの状態等を考慮して、活動期には寛解導入治療を行い、寛解導入後は寛解維持治療を長期にわたり継続する必要があります4)。
近年、治療指針にも記載されているとおり5-アミノサリチル酸(5-ASA)製剤不耐例や難治例(ステロイド抵抗例・依存例)の存在を念頭においた治療が行われるようになっています。また、長期予後改善の観点から、粘膜治癒、さらには組織学的寛解を目指すtreat to target(T2T)戦略が提唱されています4)。
ゼポジアの臨床開発は、2012年より海外で開始され、臨床薬理試験として日本人健康成人を対象とした第Ⅰ相試験を含む20試験(薬物動態、薬物相互作用、食事の影響、QT/QTc間隔への影響等)が行われました。
また、中等症から重症のUC患者※1を対象に、海外第Ⅱ相試験1試験(202試験:TOUCHSTONE)、海外第Ⅲ相試験2試験(3101試験:True North、3102試験:True North OLE)及び国内第Ⅱ/Ⅲ相試験1試験(3103試験:J-True North)の計4試験により、本剤の用量漸増投与による有効性及び安全性が検討されました。
海外では、米国で2020年3月に多発性硬化症、2021年5月に潰瘍性大腸炎の治療薬として承認を取得して以降、アジア、オーストラリア、欧州、北米及び南米を含む世界40ヵ国以上で、潰瘍性大腸炎の適応で承認されています。
日本では、国内第Ⅱ/Ⅲ相試験において、主要評価項目である投与12週時点の臨床的改善率※2でプラセボに対する優越性が検証されたことから、製造販売承認申請を行い、2024年12月27日に「中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る)」を効能又は効果として承認を取得しました。
※1: | 5-ASA製剤又はステロイドの投与歴があり、Mayoスコア6~12ポイント、内視鏡所見サブスコアが2ポイント以上、直腸出血サブスコアが1ポイント以上、かつ排便回数サブスコアが1ポイント以上の場合である活動期の患者 |
※2: | 完全Mayoスコアがベースラインから3ポイント以上かつ30%以上低下、かつ直腸出血サブスコアがベースラインから1ポイント以上低下又は絶対値が1ポイント以下となった患者の割合 |
注 | Mayoスコアが6~12ポイントで、内視鏡所見サブスコアが2ポイント以上、直腸出血サブスコアが1ポイント以上、かつ排便回数サブスコアが1ポイント以上の場合である活動期の患者 |
1) | 社内資料:In vitro薬理試験(2024年12月27日承認、CTD2.6.2.2.1) |
2) | 社内資料:In vivo薬理試験(2024年12月27日承認、CTD2.6.2.2.2) |
3) | Scott FL, et al.:Br J Pharmacol. 2016;173:1778-1792 [利益相反]著者にReceptos社の創始者、株式保有者及び社員が含まれる。 |
4) | 潰瘍性大腸炎・クローン病診断基準・治療指針 令和5年度 改訂版 http://www.ibdjapan.org/pdf/doc15.pdf(2024年11月閲覧) |
4. | 効能又は効果 中等症から重症の潰瘍性大腸炎の治療(既存治療で効果不十分な場合に限る) |
6. | 用法及び用量 通常、成人にはオザニモドとして1~4日目は0.23mg、5~7日目は0.46mg、8日目以降は0.92mgを1日1回経口投与する。 |
1)Sandborn WJ, et al.:N Engl J Med. 2021;385:1280-1291
[利益相反]本試験はBristol-Myers Squibb社により実施された。
著者に同社より助成金、コンサルティング料等を受領している者、同社の株式保有者及び社員が含まれる。
2)Danese S, et al.:J Crohns Colitis. 2024;18:264-274
[利益相反]本試験はBristol-Myers Squibb社により実施された。
著者に同社より講演料、コンサルティング料等を受領している者、同社の社員が含まれる。